言葉を紡いで、十年。錆びつくことのない物語を、これからも。
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言葉を紡いで、十年。錆びつくことのない物語を、これからも。

お知らせ
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 こんにちは、森元仁隆です。

 今年の五月で、私がブログという場所で言葉を書き始めてから、ちょうど十年になります。

 あれは、十六歳の初夏でした。当時、私は通信制の高校に通いながら、フルタイムで働いて家計を支える日々を送っていました。同世代が当たり前のように享受している青春はそこになく、友達もいない、頼れる知り合いもいない。社会の波に揉まれながら、行き場のない沸々とした感情だけが心に積もっていました。

 「誰かに聞いてほしい」という綺麗な願望よりも、「吐き出さなければ壊れてしまう」という切迫感に近い衝動。それが、私がブログを始めたきっかけです。

 最初はFC2ブログ、次はライブドアブログと、いくつかの場所を転々としました。右も左もわからないままキーボードを叩き、世に放った拙いエッセイや小説。そんな私の独り言のような文章を見つけ、読んでくださる方が現れました。

「面白かった」

「続きを待っています」

 画面越しに届くその一言が、孤独だった私の夜をどれだけ照らしてくれたか、言葉では言い尽くせません。もちろん、良いことばかりではありませんでした。時には炎上のような騒ぎになったり、心無い言葉を投げつけられて眠れない夜を過ごしたりもしました。

 それでも、そこには確かに「繋がり」がありました。

 バイクの免許を取ったと書けば、それをきっかけに読者の方と一緒にツーリングに行くことになりました。顔も名前も知らなかった私たちが、文章という糸で繋がり、同じ風を感じて走る。何もないと思っていた自分の人生に、ブログは「居場所」をくれました。私にとってこの場所は、単なるWebサイト以上の、自分のすべてと言っても過言ではない存在になっていました。

 そして今年、十周年という大きな節目を迎えるにあたり、私はブログをこの『鉄錆文庫』へ移転し、独自に運営するという決断をしました。長年積み上げてきた場所を変えるというのは、正直なところ、とても勇気がいることでした。「誰もついてきてくれないのではないか」という不安がなかったと言えば嘘になります。

 けれど、移転作業を終えた直後から、お問い合わせフォームを通じて「移転おめでとうございます」「これからも読みます」という温かい応援のメッセージをいくつも頂きました。十年経っても、私はまた、皆様の言葉に救われています。本当に、ありがとうございます。

 「鉄錆」は、時間が経つことで生まれます。それは劣化と捉えられることもありますが、長い雨風に耐え、そこに存在し続けた証でもあります。十六歳の頃のような、剥き出しの鋭い感情とは違うかもしれません。けれど、十年分の時間を重ねてきたからこそ書ける、錆びつくことのない物語を、これからもこの場所で紡いでいきたいと思っています。

 創作に対する意欲と熱量は、あの日から少しも変わっていません。新しくなった『鉄錆文庫』と森元仁隆を、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

(了)

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