言葉を紡いで、十年。錆びつくことのない物語を、これからも。
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【アニメレビュー】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』――火傷を負った少女が「愛してる」を綴るまでの、聖なる傷と贖罪の記録

言葉というものは、なんと不自由で、同時になんと残酷な発明なのだろうか。 私たちは心にある感情のすべてを他者に伝えることができない。「悲しい」と口にした瞬間、その言葉が器からこぼれ落ちてしまうような痛みが伴う。「愛している」と告げた瞬間、その...
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【アニメレビュー】『葬送のフリーレン』――英雄の死から始まる、愛と記憶の「後日譚」

「魔王を倒して、世界は平和になりました」 私たちが慣れ親しんだ物語の多くは、その一文をもってハッピーエンドを迎え、幕を下ろす。けれど、勇者たちが剣を置き、凱旋のパレードを終えた「その後」の世界で、彼らの人生はまだ続いていく。 『葬送のフリー...
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【アニメレビュー】『少女終末旅行』――絶望と仲良くするための、ふたりぼっちの冬支度

世界が終わるとき、そこに鳴り響くのは悲鳴でも爆撃音でもない。きっと、ただ風が吹き抜けるだけの、途方もない「静寂」なのだと思う。 つくみずによる同名漫画を原作とし、2017年にWHITE FOXがアニメーション化した『少女終末旅行』。2025...
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【アニメレビュー】『響け!ユーフォニアム』――「特別」になりたいと願う病。宇治川のほとりで奏でられた、青春という名の不協和音

11月の風が冷たさを増すと、京都・宇治川のほとりに立ちたくなる。水面を渡る風の音に、金管楽器の低い音色が混ざっているような錯覚を覚えるからだ。 武田綾乃の小説を原作とし、京都アニメーションがその持てる技術のすべてを注ぎ込んで映像化した『響け...
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【アニメレビュー】『86―エイティーシックス―』――断頭台の丘で、彼らは「人」として散ることを選んだ

「死者ゼロの戦場」 そんな美しくも空虚なプロパガンダの上に成り立つ国があった。壁の内側で平和を貪る白銀の種族と、壁の外側で「人の姿をした家畜」として消費される有色の種族。 2021年から2022年にかけて放送されたA-1 Pictures制...
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【アニメレビュー】『桜蘭高校ホスト部』――18年経っても色褪せない、性別と階級を超えた「優しさ」の喜劇

「扉を開けると、そこはホスト部でした」 あまりにも有名なナレーションと共に、豪奢な第3音楽室の扉が開かれてから、今年で実に18年が経つことになる。 2006年に放送されたTVアニメ『桜蘭高校ホスト部』。葉鳥ビスコによる少女漫画を原作とし、ボ...
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【アニメレビュー】『ハイキュー!!』――重力に抗い、ボールを繋ぐ。ただそれだけのことが、なぜこれほど美しいのか

バレーボールという競技の本質は、「落とさない」ことにある。ボールが床についた瞬間、そのラリーは死ぬ。だから彼らは跳ぶ。重力という絶対的な鎖を断ち切るように、何度も、何度も。 古舘春一による同名漫画を原作とし、Production I.Gが映...
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【アニメレビュー】『夏目友人帳』――名前を返す、その優しさと哀しみが、夕暮れの教室に似ている理由

誰かとすれ違ったとき、ふいに懐かしい匂いが鼻をかすめることがある。雨上がりのアスファルト、古い本のページ、あるいは線香の残り香。 そんな時、私たちは目には見えない記憶の引力に引き寄せられ、立ち止まってしまう。 緑川ゆきの漫画を原作とし、20...
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【アニメレビュー】『君の名は。』――6年遅れで繋がった、「結び」という名の奇跡について

先月の金曜ロードショーで、私はようやくこの作品と出会った。公開から6年。世間が「入れ替わってる!?」と騒ぎ、RADWIMPSの旋律が街中に溢れていたあの熱狂の季節を、私はあえて無視して過ごしてきた。 理由は単純だ。「どうせ、キラキラした青春...
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【アニメレビュー】『リコリス・リコイル』――微笑みながら銃を撃つ、「日常」と「平和」の二重奏

銃声が「日常」に融けていく。 それは本来、もっとも遠くにあるべき音のはずなのに、なぜだかこの作品では、コーヒーの香りや風鈴の音と同じくらい、自然に鳴り響いている。 アサクラアサミの原案をもとに、足立慎吾が監督を務めたアニメ『リコリス・リコイ...