言葉を紡いで、十年。錆びつくことのない物語を、これからも。
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【エッセイ】「語る」ことの甘い罠と、それでも書き続ける理由

「作ることについて語り始めたら、作り手としては終わりだ」 最近、SNSを見ていたら、そんな言葉を目にしてしまった。 その理屈でいくならば、私はとっくの昔に「終わっている」人間だ。このブログを読んでくださっている方ならご存知の通り、私はここで...
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【エッセイ】眠れない夜と物語の代償

小説を真剣に描き始めてから、眠り方を忘れてしまった気がする。 布団に入ると、体は確かに疲れているのに、頭の中だけが蛍光灯の下に取り残されている。さっきまで書いていた一文が、改行の位置が、あの台詞が本当に正しかったのかどうかが、いつまでも脳内...
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【エッセイ】物語なんてない

私たちは人生を、どこか「物語」のようなものだと勘違いしている節がある。 幼い頃から触れてきた漫画や映画の影響だろうか。人生には起承転結があり、伏線は回収され、努力は報われ、最後には何らかの意味深い結末が用意されていると、無意識のうちに期待し...
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【エッセイ】筆を執るフリをする

「良い文章は、静寂から生まれる」 誰の言葉かは忘れたが、たぶん昔の偉大な文豪だろう。 私はその言葉を信じ、ある決断をした。スマホとパソコン、この二つの文明の利器を24時間完全に断つことだ。小説やエッセイを書く者として、最近の自分はあまりに「...
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【エッセイ】愛という名前の、ほどけない問い

愛とは何か。 この問いは、あまりにも簡単に口にされるのに、あまりにも答えにくい。辞書的な定義を並べることはできる。哲学者や宗教家の言葉を引用することもできる。けれど、そうした答えは、どこかで自分の実感からずれてしまう。「そういう話じゃないん...
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【エッセイ】車窓を流れる無数の灯り

夜の電車というのは、奇妙な空間だ。つい数十分前までは職場で言葉を交わし、神経をすり減らしていた人間たちが、ここでは一言も発さずに揺られている。規則的なレールの継ぎ目を刻む音だけが、BGMのように車内を支配している。 私は窓際に立ち、暗いガラ...
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【エッセイ】誰にも届かない手紙を、夜の海に流すように

街が寝静まった深夜二時。冷蔵庫の駆動音だけが、部屋の静寂を規則的に切り刻んでいる。 仕事から帰宅し、重い身体を引きずってシャワーを浴び、ようやくパソコンの前に座る。日中の労働で擦り減った神経は、もはやとっくに悲鳴を上げている。本来なら泥のよ...
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【エッセイ】本の重さ、時間の重さ

本を買うたび、あるいは整理しようとするたび、私は自分の愚かさを呪うことになる。段ボール箱に詰め込まれた大量の本。その圧倒的な質量を前にして、「次は電子書籍に移行しよう」と固く誓うのだ。タブレット端末一つあれば、この数百冊は一グラムの重さも持...
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【エッセイ】教室のない学び舎で得たもの

多くの人が共有している「青春」の記憶というものが、私には希薄だ。放課後の教室のざわめき、制服の着崩し方、文化祭の準備で居残る夕暮れ。そういった、いわゆる「学生らしい」風景は、中学卒業とともに私の人生から色を失った。 私は、通信制高校から通信...
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【エッセイ】一文字の空白に、祈りを込めて

「どうして字下げをするの? 正直、読みにくいです」 先日、読者の方からそんな声をいただいた。 痛いところを突かれた、と思う。確かにその通りなのだ。スマホの画面で、横書きの文章を追う現代のスタイルにおいて、段落の頭を一文字下げる「字下げ」は、...